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  • 2025.9.10

緊張すると何で口が乾くの?

就職活動の面接、プレゼンテーション、発表会…。

大切な場面で「口がカラカラになって、言葉が出づらい」という経験をした方は多いのではないでしょうか。

実はこれは単なる気のせいではなく、体の仕組みとして起こる“自然な反応”です。

今日はその理由と、歯科の視点から見た対策についてご紹介します。

★緊張と自律神経の関係

私たちの体は「自律神経」というシステムによって調整されています。

自律神経には2種類があり、状況に応じてバランスを取りながら働いています。

副交感神経 … リラックスしているときに優位になり、胃腸の働きや唾液分泌を促す

交感神経 … 緊張やストレスのときに優位になり、心拍数を上げ、血圧を上げ、筋肉を緊張させる

人前に立つ、試験を受けるといった緊張状態になると、交感神経が優位になります。

これは「戦うか、逃げるか」に備える本能的な反応。

その結果、消化活動はストップし、唾液の分泌も抑えられてしまうのです。

つまり「口が乾く」という現象は、体が“緊急モード”に切り替わったサインなんですね。

★唾液の役割と緊張による変化

唾液は単なる“水分”ではありません。

• 食べ物を湿らせ、飲み込みやすくする

• 酵素でデンプンを分解し、消化を助ける

• 抗菌作用で細菌の増殖を防ぐ

• 歯の表面を修復(再石灰化)して虫歯を予防する

など、口の健康に欠かせない働きをしています。

さらに、唾液には2種類あります。

1. サラサラした唾液(漿液性)

 → 水分が多く、口の中を潤し洗い流す役割

2. ネバネバした唾液(粘液性)

 → 粘膜を保護する役割

緊張時には、サラサラ唾液が減り、ネバネバ唾液の比率が増えます。

そのため「カラカラするのに、口の中はねばつく」という不快な感覚が出るのです。

★口が乾くことで起こる影響

短時間でも口の乾燥が強いと、さまざまな不便やリスクが出ます。

• 舌が上あごに張りつき、発音しづらい

• 声がかすれ、スムーズに話せない

• 唾液の抗菌作用が低下 → 口臭が強くなる

• 口の自浄作用が落ち、細菌が増えやすい

• 虫歯・歯周病のリスクが高まる

「緊張で話しにくい」だけでなく、お口の健康にも関わっているんです。

★緊張したときにできる対策

本番前にできる工夫

水をひと口飲む:乾燥をリセット

舌をぐるっと回す運動:舌下腺や耳下腺を刺激して唾液を出す

軽く深呼吸:自律神経を落ち着け、副交感神経を働かせる

ガムやタブレット(場面に応じて):噛むことで唾液腺が刺激される

普段からできること

よく噛んで食べる:咀嚼は最大の唾液刺激

鼻呼吸を意識する:口呼吸は乾燥の大きな原因

規則正しい生活:睡眠不足やストレスは自律神経の乱れを悪化させる

★緊張だけじゃない?ドライマウスの可能性

「緊張のときだけ」であれば一時的な現象ですが、

もし 普段から口が渇く、夜中に喉が渇いて目が覚める といった症状がある場合は、

ドライマウス(口腔乾燥症) の可能性があります。

原因は多岐にわたり、

• 加齢による唾液腺機能の低下

• 薬の副作用(降圧剤・抗うつ薬・抗アレルギー薬など)

• 糖尿病やシェーグレン症候群などの病気

• 更年期のホルモン変化

• ストレスや生活習慣

などが考えられます。

ドライマウスは放置すると、

• 虫歯・歯周病の進行

• 強い口臭

• 舌や口の粘膜の痛み

につながることもあるため注意が必要です。

まとめ

• 緊張すると口が乾くのは、交感神経が優位になり唾液が減る自然な反応

• 唾液には口を潤すだけでなく、抗菌・自浄・再石灰化といった重要な役割がある

• 水分補給や舌の運動、深呼吸で緊張時の乾きを和らげられる

• ただし日常的に乾燥が続く場合は「ドライマウス」の可能性があり、歯科受診がおすすめ

緊張で口が乾くのは誰にでもあることですが、

「最近いつも乾いている気がする」「夜中に口が渇いて目が覚める」などの症状がある方は、

ぜひ一度歯科にご相談ください。

当院でも、口の乾きやドライマウスに関するご相談を受け付けています。

お気軽に受付までお声かけくださいね