同じ被せ物なのに仕上がりが違う理由
「同じ素材を使っているはずなのに、被せ物の仕上がりが違う気がする」
これは患者さんからも、歯医者さんからも、そして技工士同士でもよく話題になることです。
見た目は同じように見えても、被せ物の完成度には確かに差が出ます。
では、その違いはどこから生まれるのでしょうか。
今回は技工士の立場から、同じ被せ物でも仕上がりが変わる理由をお話しします。
被せ物を作る際、技工所にはさまざまな情報が届きます。
• 印象(型取り)
• 噛み合わせの記録
• 指示書
• 口腔内写真
• 仮歯の情報
これらがそろっているほど、技工士は完成形を具体的にイメージできます。
逆に、「素材と部位だけ」の指示書の場合、技工士は想像で補いながら作業することになります。
この情報の差が、仕上がりの差につながることは少なくありません。
被せ物は、印象をもとに作られます。つまり、スタート地点は印象です!
• マージンがはっきりしているか
• 気泡や欠けがないか
• 変形していないか
こうした条件が整っている印象は、精度の高い被せ物につながります。
どんなに技工士が丁寧に作っても、元の印象が不正確だと限界があります。
技工士の間では、「被せ物は印象で8割決まる」と言われることもあるほどです。
噛み合わせの情報がしっかりしていると、
• 高さが合いやすい
• 違和感が出にくい
• 調整が少なく済む
被せ物になります。
逆に噛み合わせの情報が少ないと、口腔内での調整が増え、本来の形態が変わってしまうこともあります。
最初から正しい情報があるかどうかは、仕上がりに大きく影響します。
同じ被せ物でも、
• どこに力がかかるか
• どこを厚くするか
• どこをあえて逃がすか
こうした判断は、技工士の経験や考え方によって変わります。
長く使われることを想定して作るのか、とりあえず入ることを優先するのか。
その意識の違いは、細かい形態や内面処理に表れます。
見た目は似ていても、中身が全く違う被せ物になることもあります。
被せ物の内側やマージン部分は、患者さんからはほとんど見えません。
しかし技工士にとっては、最も神経を使う場所です。
• 適合
• マージンの仕上げ
• 内面の処理
ここを丁寧に作ることで、
• 外れにくい
• 虫歯が再発しにくい
• 長持ちしやすい
被せ物になります。
見えない部分へのこだわりが、数年後の結果を左右します。
被せ物は、
歯医者さん・技工士・患者さん
この3者で完成するものです。
どれか一つが欠けると、どんなに良い素材でも本来の力を発揮できません。
だからこそ、技工士は与えられた条件の中で、最善を尽くす必要があります。
同じ被せ物でも仕上がりが違う理由は、
• 情報量
• 印象の精度
• 噛み合わせ
• 技工士の考え方
• 見えない部分へのこだわり
こうした要素が重なっているからです。
素材だけでは測れない、小さな差の積み重ねが、被せ物の完成度を決めます。
技工士として、これからも「見えない差」を大切にしながら、長く使ってもらえる被せ物を作っていきたいと思います!