歯石がついているとなぜよくないか
〈歯石はプラークの中の細菌によりつくられる〉
細菌が死んで石灰化し、歯石となる
歯石は唾液によってつくられるわけではなく、実はプラークの中の細菌によりつくられます。つまりプラーク細菌がなければ歯石は形成されません。歯石形成の最初のステップは、プラーク中の細菌が歯とくっつくことです。歯にくっついた細菌は2週間くらいのうちに死んで石灰化します。石灰化した細菌同士がくっついて歯石のコア(芯)になります。そのコアにまた別の細菌がくっついて、歯石は少しずつ大きくなっていくのです。いずれにしても、プラークだけではなく歯石をつくらせないためにも、ブラッシングなどによるプラークコントロールが大切です。
歯石の周りに大量のプラークがくっつく
歯石は、歯周組織と接触するプラークの量を増やす働きをしています。歯石ができると、その周りに大量のプラークがくっつくことになります。歯石を見つけたら、その周りにはよく見えなくても、ものすごい量のプラークがくっついていると考えてください。
歯石の周りにくっついているプラークが歯ぐきを攻撃するために、歯ぐきに赤みが生じたり、腫れができたりします。
さらに、歯石自体が歯ぐきの組織を傷つけることもあり、その傷が潰瘍につながることもあります。このような理由から、スケーリングなどで歯石を除去することは大事なのです。
〈覚えておこう!〉
歯石を構成する成分
歯石の約80%は無機質、残りの20%は有機質と水からできています。無機質はリン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸カルシウムからなり、有機質成分は菌体で内毒素も含まれています。歯石の有機質成分はプラーク内の細菌と変わらないのです。歯石内の細菌と変わらないのですが、歯石内の細菌は死んでいることが多いため、その影響はプラーク内の細菌よりも弱いと考えられます。
硬い歯石は頑固おやじ?
細菌はわずか2週間で石灰化します。細菌の石灰化が終わると、その周りにまた細菌が集まり、これが新たに石灰化して、層状に大きな歯石を形成していきます。石灰化のスピードは速いのですが、歯の表面に強くくっついた硬い歯石になるには1ヶ月以上もかかります。
古い歯石は新しい歯石に比べて簡単には取り除くことができないので、定期的に歯科受診しましょう。