• 旧ブログ
  • 2023.8.31

歯周病と全身疾患の関係について2

骨粗鬆症の人は歯周病になりやすい
〈骨粗鬆症とは〉
骨の強度が低くなって、軽い衝撃でも骨折を起こしやすくなる病気です。主な原因は加齢で、女性ホルモンの影響を受けるため高齢の女性に多い疾患です。致命的な疾患ではありませんが、結果的に養介護状態になる人も少なくないので注意が必要です。

骨密度が低いと歯槽骨の吸収が進みやすい
歯周病にかかると、歯周病菌が歯ぐきに炎症を起こして、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かしてしまいます。これを「歯槽骨の吸収」といいます。
体の骨と歯槽骨の関係を調べた研究の大部分では、体の骨密度と歯槽骨の吸収の程度には関係があるという結果でした。例えば、骨粗鬆症の人たちと正常な骨密度の人たちを3年間観察したところ、骨粗鬆症の人たちの方が歯槽骨の吸収が多かったとの報告があります。
お口の中には歯周病菌がいるかどうかは、歯周病が進むかどうかの強力な要因ですが、その要因や年齢が同じくらいの人どうしで比べると、体の骨密度が低い人の方が、歯槽骨の吸収が進みやすいといえそうです。

歯周治療で腎臓の状態が良くなる可能性がある
〈腎疾患とは〉
腎臓の役割は、血液が運んできた体中の老廃物を濾過し、尿として体外へ出すことです。
腎臓の機能低下が慢性的に続く状態を、慢性腎臓病といいます。慢性腎臓病が進行して腎不全になると、老廃物を除去できなくなり、最終的には透析や移植が必要になってしまいます。

歯周病が慢性腎臓病の原因の一部かもしれない
慢性腎臓病を引き起こす代表的な原因は・・・
○糖尿病
○加齢
○喫煙
○高血圧
○糸球体腎炎
○自己免疫疾患
など挙げられますが、原因がよく分からないことも多いのです。しかし、以前は原因不明とされたもののうち、一部は歯周病が関係しているかもしれないと言われるようになりました。

歯周病が治ると慢性腎臓病も少し改善する
歯周病の人は、血液中に炎症性物質が増加しています。つまり、全身がつねに軽い炎症の状態になっていて、歯周病が治らないかぎり長時間続いてしまいます。その状態が腎臓にも悪い影響を及ぼすかもしれないと考えられるようになりました。
慢性腎臓病と歯周病の両方にかかっている患者さんに歯周治療をしたらどうなるか調べた研究では、歯周病が治った場合に慢性腎臓病も少し改善するという結果でした。