• 旧ブログ
  • 2023.8.31

歯周病と全身疾患の関係について3

歯周病が原因で動脈硬化が起こりやすくなる
〈動脈硬化とは〉
動脈の内側で血液中の脂肪や白血球などが粥状にくっついて溜まり、血管が硬く狭くなることです。溜まったものが壊れると血栓をつくり、完全に血管を塞いでしまうこともあります。冠動脈で起これば心臓発作、脳で起これば脳卒中で、がんに次ぐ日本人の死因第2位です。

歯周病で血液中の炎症性物質が増えると動脈硬化が起こりやすくなる
血液中の炎症性物質の数値が高いと動脈硬化が起こりやすくなります。歯周病の患者さんは全身が軽い炎症状態にありますから、炎症性物質の数値が少し高くなり、動脈硬化が起こりやすくなると考えられています。

歯周病菌は動脈硬化の原因か?
まれに、動脈硬化を起こした血管から歯周病菌がみつかることがありますが、歯周病菌が動脈硬化の原因になるのかどうかまではわかっていません。
しかし動物を使った最近の研究では、歯周病菌を飲み込むと腸内細菌の構成が変わって腸の壁が弱くなるため、全身の臓器に細菌の影響が及ぶということがわかりました。このようなことから、歯周病が原因で動脈硬化が起こりやすくなるのかもしれませんが、歯周病を治療したら動脈硬化が減るのかどうかは研究不足でまだはっきりしていません。


歯周治療で関節リウマチが改善する可能性がある
〈関節リウマチとは〉
関節リウマチは、からだの免疫の仕組みに異常が起きて、「自己抗体」という自分自身のからだを攻撃するものができてしまい、そのため関節に腫れや痛みをともなう炎症が起こる病気です。進行すると関節が変形してしまいます。女性や高齢者に多い病気です。 

歯周病も関節リウマチも炎症性の病気
これまで沢山の研究結果から、関節リウマチにかかっている人は、歯周病になりやすいといわれています。その理由は、両方とも炎症性の病気があり、共通のリスク因子(炎症を起こしやすい体質や、喫煙など)があるためかもしれません。その他に、関節リウマチになると手指が動かしにくく、ブラッシング(歯磨き)がしづらいことや、関節リウマチの薬が免疫反応を抑える作用があるためかもしれないなど、いろいろ考えられています。

歯周治療が関節リウマチを改善する可能性もある
歯周病が関節リウマチをより進行させる可能性もあります。歯周病菌がもっている酵素が、関節リウマチを起こす自己抗体を増やすかもしれないからです。
また、関節リウマチと歯周病の両方にかかっている患者さんに歯周治療を行った研究がいくつかあり、そのほとんどで歯周病を治療したらカナ説の腫れや痛みが減り、関節リウマチの検査値が下がったと報告されています。

分からないことがあればお気軽にスタッフにお尋ねください。

歯科衛生士 岡崎