高齢者の根面う蝕の特徴
歯冠部う蝕と根面う蝕の違い
歯の根元の部分は、頭の部分(歯冠部)に比べてむし歯になりやすいです。なぜなら、根元の部分はエナメル質に覆われておらず、象牙質が露出しているからです。象牙質は、エナメル質に比べて酸に溶けやすくむし歯になりやすいのです。
~象牙質がむし歯になりやすい原因~
①エナメル質は、pH5.5より低くなると溶け始めます。(臨海pH5.5)一方、象牙質の臨海pHは、6.0~6.7程度で、エナメル質よりも酸に溶けやすい性質があります。
通常、歯垢(プラーク)は、pH7付近の中性です。砂糖などの糖質を摂ると、プラーク中で酸が生産されます。その後、唾液の緩衝作用によって元のpHに戻りますが、一時的にはpH4.5程度まで低下します。
②エナメル質は約95%が無機質で、有機質は1%程度であるのに対して、象牙質は無機質が約70%、有機質が約20%で構成されています。そのため、象牙質はエナメル質に比べて柔らかいのです。無機質が酸で溶け出すだけでなく、有機質が分解されることでも、むし歯は進行します。また、無機質が溶けて、残った有機物の隙間に細菌が侵入して留まることで、さらなる歯の根元のむし歯の進行の原因になります。
③エナメル質と違い、象牙質の表面には沢山の穴があります。そのため、象牙質では、この穴を通じて象牙質内部に細菌が侵入したり、酸が入り込んできます。歯の根元のむし歯がエナメル質のむし歯と違って進行が早いのは、この穴の存在が大きく関わっています。