やり替えになりやすい被せ物の特徴
「この被せ物、やり替えになりました」
技工所で仕事をしていると、こうした連絡を受けることがあります。
被せ物は本来、長く使われることを前提に作られています。
しかし実際には、数年以内、場合によっては短期間でやり替えが必要になるケースも少なくありません。
技工士として多くの症例に関わる中で、
やり替えになりやすい被せ物には共通する特徴があると感じています。
今回は、そのポイントについてお話しします。
やり替えになりやすい被せ物でまず多いのが、マージンがはっきりしていないケースです。
• 境目がぼやけている
• 印象で確認しづらい
• 歯ぐきに隠れている
このような状態では、
• 適合が甘くなる
• セメントの厚みが不均一になる
• 隙間ができやすい
結果として、二次う蝕や脱離につながりやすくなります。
被せ物は印象をもとに作られるため、その精度は非常に重要です。
• 気泡が多い
• 変形している
• 欠けている部分がある
こうした印象では、どれだけ丁寧に作っても限界があります。
やり替えになった症例を振り返ると、最初の印象に問題があるケースは少なくありません。
噛み合わせの情報が少ないと、技工士は平均的な形で作るしかありません。
その結果、
• 高すぎる
• 特定の歯だけ強く当たる
• 違和感が出る
といった問題が起きやすくなります。
調整を繰り返すうちに、本来の形が崩れてしまい、やり替えにつながることもあります。
見た目を重視することは大切ですが、それが過剰になるとリスクが高まります。
• 薄く作りすぎる
• 強度を無視した形態
• 無理な色調再現
こうした被せ物は、
• 割れやすい
• 欠けやすい
• 長期使用に向かない
といった問題を抱えやすくなります。
審美と機能のバランスが取れていないと、やり替えのリスクは高くなります。
仮歯は、口の中で一度試された重要な情報です。
しかし、
• 仮歯の評価が共有されていない
• 問題点が反映されていない
といった場合、同じ問題を持ったまま最終補綴が作られることになります。
その結果、違和感やトラブルが残り、やり替えになるケースがあります。
やり替えになりやすい被せ物には、清掃性の悪さも関係しています。
• 過度に膨らんでいる
• 歯ぐきに対して不自然な形
• フロスが通しにくい
こうした形態では、
• プラークが溜まりやすい
• 歯周炎が進行しやすい
• 二次う蝕のリスクが高い
結果として、長く維持することが難しくなります。
被せ物そのものに問題がなくても、患者さんの口腔内環境によってやり替えになることがあります。
• 歯ぎしり・食いしばりが強い
• 清掃習慣が不十分
• 定期的なメンテナンスがない
こうした条件では、被せ物に過度な負担がかかり、トラブルが起きやすくなります。
やり替えが多い症例では、医院と技工所の連携不足が見られることもあります。
• フィードバックがない
• 修正点が共有されない
• 方針が曖昧
こうした状況では、同じ問題が繰り返されやすくなります。
やり替えになりやすい被せ物には、
• マージンの不明瞭さ
• 印象の精度不足
• 噛み合わせの情報不足
• 無理な審美性
• 仮歯情報の未活用
• 清掃性の悪さ
• 患者さんのリスク
• 連携不足
といった特徴があります。
これらは特別な問題ではなく、日常の中で起こり得ることばかりです。
だからこそ、一つひとつ丁寧に見直すことで、やり替えのリスクは確実に減らすことができます。
技工士として、「長く使われる被せ物」を目指しながら、これからも細部にこだわっていきたいと思います。