短命だった被せものに共通していること
「まだ入れてからそんなに経ってないのに、もう外れたんです」
患者さんから、そんな話を聞くことがあります
被せものは、本来長く使われることを前提に作られるものです。
それにも関わらず、数年、場合によっては数か月でやり替えになるケースもあります。
技工士としていくつかの症例を見てきた中で、短命だった被せものには、いくつかの共通点があると感じています。
今回は、その特徴についてお話します。
短命だった被せもので最も多いのが、支台歯の問題です。
・残ってい歯質が少ない
・虫歯の取り残しがある
・土台の設計が不十分
こうした状態では、どんなに精度の高い被せものでも、長く持たせることは難しくなります。
被せものは「土台の上に乗る構造」であり、土台が弱ければ、寿命も短くなります。
適合が悪い被せものは、短命になりやすい傾向があります。
・マージンが不明瞭
・内面にずれがある
・浮きがある
こうした被せものは、
・セメントが早く劣化する
・隙間から虫歯が発生する
・外れやすくなる
といった問題につながります。
見えない部分の精度が、寿命を左右する典型的な例です。
短命だった被せものには、噛み合わせの問題が関わっていることが多いです。
・強く当たりすぎている
・力が一点に集中している
・歯ぎしり、食いしばりが強い
こうした条件下では、
・被せものが割れる
・脱離する
周囲の歯に負担がかかる
といったトラブルが起こりやすくなります
見た目を優先しすぎた被せものも短命になりやすい傾向があります。
・薄すぎる
・過度に尖っている
清掃しにくい
こうした形態は、
・破折
・プラークの停滞
・歯周トラブル
を引き起こしやすくなります。
機能と審美のバランスが崩れると、被せものの寿命は縮まります。
短命だった被せものの多くは、技工士に届く情報が少ないケースが多いです。
・写真がない
・仮歯の情報がない
情報が少ないと、技工士も平均的な判断しかできません。
結果として、口腔内の状況に最適化されていない被せものが出来てしまいます。
被せものの寿命は、患者さんの習慣にも大きく左右されます。
・定期健診に行かない
・歯磨きが不十分
・歯ぎしり対策をしてない
こうした要因が重なると、被せものだけでなく、土台の歯もダメージを受けます。
技工士としては、「技術だけでは守れない部分がある」と感じる瞬間でもあります。
短命だった症例の背景には、連携不足があることも少なくありません。
・フィードバックがない
・方針の共有がない
・修正点が伝わらない
こうした状況では、同じ問題が繰り返されやすくなります。
短命だった被せものに共通しているのは、一つの原因ではなく、複数の要因が重なってるケースがほとんどです。
・土台の不安定
・適合不良
・噛み合わせの問題
・無理な形態
情報不足
患者さんの習慣
連携不足
これらが重なると、被せものの寿命は、大きく縮まります。
逆に言えば、これらを一つずつ改善することで、被せものは、確実に長持ちします。
技工士として、「ただ作る」のではなく、「長く使われる被せもの」を意識しながら、これからも仕事に向き合っていきたいと思います。