「この指示書ありがたい…」と技工士が心から思う瞬間
被せ物を作る際、技工所には必ず「指示書」が届きます。
部位、素材、種類。
最低限の情報が書かれていれば、被せ物を作ること自体は可能です。
ですが、正直に言うと
指示書の内容によって、仕上がりの精度や作りやすさは大きく変わります。
今回は技工士の立場から、
「この指示書、ありがたいな」と感じる瞬間についてお話しします。
技工士は指示書から“背景”を読み取っている
指示書は、
単なる作業指示ではありません。
• なぜこの素材なのか
• どこを重視しているのか
• どんな口腔内状況なのか
技工士は、行間やニュアンスも含めて読み取ろうとしています。
だからこそ、少しの一言があるだけで、完成度が変わることがあります。
例えば、
• 「適合重視でお願いします」
• 「審美性を優先したい部位です」
•「噛み合わせはやや弱め希望」
こうした一言があるだけで、技工士は迷わず判断できます。
すべてを完璧にするのが理想ですが、現実的には優先順位が必要な場面もあります。
その方向性を示してもらえると、とても作りやすくなります。
• 仮歯で問題なかった
• 少し長いと感じていた
• ここが当たっていた
こうした情報が書かれていると、技工士は「完成形のヒント」を得られます。
仮歯は、すでに口の中で試された形です。
その評価が分かる指示書は、本当にありがたいです。
指示書に写真が添えられていると、技工士の理解度は一気に上がります。
• 周りの歯との色調
• 歯ぐきのライン
• 形の個性
文章では伝えきれない情報を、写真一枚が補ってくれます。
「この写真を見ながら作れる」それだけで、仕上がりのイメージがかなり明確になります。
例えば、
• 支台歯が弱い
• 咬合が強い
• 歯ぎしりがある
こうした背景情報があると、技工士は形態や厚みを工夫できます。
逆に情報がないと、平均的な判断しかできません。
状況説明=選択肢を広げてくれる情報
と言ってもいいかもしれません。
「お任せします」と書かれた指示書。
実は、少し難しい言葉でもあります。
ですが、
• いつも同じ考え方
• 仕上がりの方向性が分かっている
• 過去の症例が共有できている
こうした関係性がある中での「お任せします」は、とても信頼を感じる言葉です。
その期待に応えたい、そう思わせてくれます。
指示書が丁寧=作業が遅くなる、ではない
よく誤解されがちですが、指示書が丁寧だからといって
作業が遅くなるわけではありません。
むしろ、
• 迷いが減る
• 修正が減る
• 作り直しが減る
結果的に、スムーズに進むことが多いです。
技工士が指示書で一番感じていること
技工士は、
「この被せ物をどう作るか」だけでなく、
「この先生は何を大事にしているのか」
も感じ取ろうとしています。
指示書は、技工士とのコミュニケーションツールです。
「この指示書ありがたい」と感じるのは、
• 優先順位が分かる
• 仮歯や写真の情報がある
• 背景が少しでも共有されている
そんなときです。
ほんの一言、ほんの情報でも、被せ物の仕上がりは確実に変わります。
技工士として、そうした思いを受け取りながら、これからもより良い被せ物を作っていきたいと思います☆