歯科衛生士が診療中に見ている「食いしばり」のサインとは?自覚がない人ほど要注意
「無意識に歯を食いしばっていませんか?」
歯科医院でこう言われて、驚いた経験がある方も多いのではないでしょうか。実は、食いしばりや歯ぎしりは自覚がない人ほど多い癖です。そして歯科衛生士は、診療中にさまざまなサインからその兆候を見抜いています。
今回は、歯科衛生士が実際の診療の中で見ている「食いしばりのサイン」について、詳しく解説していきます。
食いしばりは自覚しにくい癖のひとつ
食いしばりとは、上下の歯を強く噛み締める癖のことです。睡眠中だけでなく、仕事中やスマホを見ている時、家事や運転中など、日中にも無意識に行われていることが少なくありません。
多くの人は「歯ぎしりはしていない」「痛みもないから大丈夫」と思っています。しかし、歯や歯茎、顎、筋肉には確実に負担がかかっているため、歯科衛生士は細かな変化を見逃さないようにしています。
① 歯のすり減り方が不自然
診療中、歯科衛生士がまず注目するのが歯のすり減りです。
通常の咀嚼による摩耗とは違い、食いしばりがある人の歯は、
・前歯や奥歯の先端が平らになっている
・歯の角が丸く削れている
・部分的に極端にすり減っている
といった特徴があります。特に年齢の割に歯の摩耗が強い場合、食いしばりを疑います。
② 歯に細かいヒビ(クラック)が入っている
強い力が継続的にかかると、歯の表面に肉眼では分かりにくい細かいヒビが入ることがあります。これを「クラック」と呼びます。
診療中のライトや拡大視野で見ると、歯の表面にスーッと線が入っているのが確認できることがあります。
このヒビは、食いしばりの典型的なサインであり、将来的に歯が欠けたり、しみる症状につながる可能性があります。
③ 被せ物・詰め物のトラブルが多い
歯科衛生士は、被せ物や詰め物の状態も注意深く観察しています。
・詰め物がよく外れる
・被せ物が欠けている
・特定の歯だけ繰り返しトラブルが起きる
こうした場合、噛む力が強すぎる可能性があります。食いしばりによる負荷は、天然歯だけでなく人工物にもダメージを与えるため、治療歴からも癖が見えてきます。
④ 歯茎の盛り上がりや骨の出っ張り
診療中、歯茎を見たときに、部分的に硬く盛り上がっていることがあります。これは「骨隆起」と呼ばれ、強い噛む力が長期間かかることで骨が発達した状態です。
特に下の前歯の内側や、上顎の中央に見られることが多く、食いしばりが長年続いているサインのひとつです。
⑤ 舌や頬の内側に歯の跡がついている
歯科衛生士は、歯だけでなく舌や頬の内側もチェックしています。
・舌の側面がデコボコしている
・頬の内側に白い線がある
これらは、無意識に強く噛み締めている人によく見られる所見です。歯を食いしばることで、舌や頬が歯に押し付けられ、跡が残ります。
⑥ 顎や首まわりの筋肉が発達している
クリーニングや処置中、顎の筋肉の張りに気づくこともあります。特にエラ部分の筋肉が硬く発達している人は、食いしばりの可能性が高いです。
患者さん自身は「筋肉があるだけ」と思っていても、歯科衛生士から見ると噛む力の強さが表情や触診から伝わってきます。
⑦ 知覚過敏や原因不明の違和感がある
虫歯がないのにしみる、特定の歯が浮いたような感じがする、朝起きると顎が疲れている。こうした訴えも、食いしばりのサインとして重要です。
強い力が歯にかかり続けることで、歯の神経や歯周組織がダメージを受け、症状として現れることがあります。
まとめ:歯科衛生士は「歯以外」も見ている
歯科衛生士は、歯の汚れを取るだけの存在ではありません。歯のすり減り、歯茎、舌、筋肉、治療歴など、口全体から生活習慣や癖を読み取っています。
食いしばりは放置すると、歯の破折、顎関節症、肩こり、頭痛など、全身の不調につながることもあります。もし「自分も当てはまるかも」と感じたら、歯科衛生士や歯科医師に相談してみてください。
早めに気づき、対策することが、歯を長く守る第一歩です。
